さいたま市は埼玉県の領袖を争っていた大宮市と浦和市が合併して誕生した巨大政令指定都市だが、インフラおよび商業施設の充実度合においては旧大宮が勝っている。本日(10/22)はそんな大宮駅西口にそびえ立つソニックシティーにやってまいりました。ソニックシティー30Fのクリニックで人間ドックを受診するのだ。人間ドックそのものは半日で終了するが、その後出社するのもかったるいので例年どおり会社には休暇届をだしている。
午前8時30分にクリニックで受付を済ませるとオプションの確認があり、前立腺腫瘍マーカー検査や胃カメラ検査、ピロリ菌検査など勧められるが全てノー産休(No,thank you)。逆にバリウム検査のキャンセルを依頼する。単なる偶然なのだが50歳までバリウム検査を受けたことがなかった。特に断った記憶はないのだが、なぜかバリウム未体験で50歳を迎えた。バリウムは飲んだ後ゲップを我慢したり、なかなか排泄しないなどネガティブな情報を聞くので2年前からは明確にバリウムを拒否することにしている。ブログタイトル「好きなことだけしていたい」を貫くため社会の公序良俗や会社の人事考課に明らかなマイナスとならない限りイヤな事はしない方針だ。このままバリウムヴァージンで生涯を終える所存である。
検査結果のファーストオピニオンはγ-GTP(がんまじーてーぴー)以外は問題ないとのこと。γ-GTP(がんまじーてーぴー)は昨晩(人間ドックの前夜でありながら)赤ワインを1本空けているので想定の範囲内なのである。会計を含めた最後の窓口確認で美味しそうな「お寿司」や「天ざる」「パスタとピッツア」などの写真が並べられており、5店舗から好きな店の食事券を選ぶよう指示があったが、私は「いりません」ときっぱり断る。すると窓口のオネーサンは「えっ!あっああ・・・いらないんですか?」とビックリしている。無料の食事券を断る変人は私くらいなものであろう。しかし、ここで寿司やパスタを喰う訳にはいかないのだ。人間ドックと双璧をなすもうひとつの重要な目的が大宮駅東口で私を待っているのだ。
γ-GTP(がんまじーてーぴー)以外は問題無しとのお墨付きを得たので心おきなく昼飲みを開始することに。ここ大宮駅東口の「いづみや本店」は午前10時30分の開店から酒が飲める呑んべーパラダイス。さらに更にここはかの有名な爬虫類じゃなくて「吉田類の居酒屋放浪記」でも紹介された居酒屋界の聖地なのである。私は人間ドックで内側の穢れを検査し身を清めた巡礼者だ。午前11時25分、聖地の暖簾をくぐる。
店内の2/3は幅の狭い(45cm位)長テーブルと丸椅子が設置されており、かべ際の1/3が4人掛テーブルが置かれている。4人掛テーブルには全て「予約席」の札が立っており、午前中から一人飲みするロンリーウルフは必然的に長テーブルの丸椅子に安住の地を求めることになる。私の入店時点で6匹のロンリーウルフが程よい間隔で長テーブルに取り付いている。私も場の雰囲気を壊さぬよう程よい間隔を開け着席する。壁一面にメニューの旧びた短冊が貼られ、事前のリサーチどおり店員さんは全員熟女(軽く還暦オーバー)。日本酒は大きなやかんにいれ直火で燗をつけている。まさに昭和!聖地は心休まる昭和ノスタルジーなのであった。昭和35年生まれのロンリーウルフは建て替え前の実家に帰ったような居心地良さを感じながら瓶ビール(510円)をオーダー。
最近はまずお目にかかれない「サッポロラガー赤星」(510円)、サッポロはほとんどの店が「黒ラベル」なので「赤星」が飲める時点で貴重なお店だ。いゃ~懐かしいですね、味は赤黒ほとんど変わらないと思いますが。
ビールのアテには「ポテトサラダ」(320円)と「串カツ」(370円)と決めていた。熱々の串カツに卓上のウスターソースをたっぷり染み込ませ齧りつき咀嚼すると、焦げたコロモの香ばしさとジューシーな豚肉汁、玉ねぎではない拘りの長ネギの風味がスパイシーなウスターソースによって婚前合体(渾然一体)となり、そこに冷たいポテサラを口中追加するとマヨネーズのコクとジャガイモの食感が追い打ちを駆ける。その刹那、赤星ラガーを流し込み婚前合体(渾然一体)を全て胃袋に送りこんだ後にはホップの爽やかな香味が残るだけであった。
串カツとポテサラを全て完食、赤星ラガーを飲み干しテーブルの上を綺麗にしてから満を持して「梅割り」(220円)をオーダー。熟女店員さんが一升瓶から茶色い液体を表面張力のお手本のようにコップに注いでくれる。平成の梅割りは焼酎に梅干を丸ごと投入しお湯で割ったものが一般的だが、昭和の梅割りは生の甲類焼酎に梅シロップを溶かし込んだものなのだ。生の焼酎なのでアルコール度数は高いが、梅の香りとほのかな甘さと絶妙な渋みが焼酎の苦さにブレンドされ不思議と口当たりが良い。これはイイ!、自宅でも飲みたいので梅シロップについて今後研究していくつもり。
梅割りのアテは「レバ焼き」(300円)。見た目は「みたらしレバー」だが、実食すると「みたらし」感が更に強まる。甘味が強い醤油味でとろみもガッツリ、レバの間に団子が刺さっていても違和感が無い味わいだ。これはイマイチ失敗かと思った矢先、アレ?なんか旨い。レバの焼き具合が絶妙で外は香ばしく中は半ナマ、レバのとろっとした血の風味とみたらし味が絶妙なコラボ。食べ進むほどに滋味が湧いてくる、さすがに甘ったるくなったところで、梅割りを飲むと、梅の香りが爽やかで渋みと苦さが口中をさっぱりさせてくれる。結局梅割りをおかわりし2杯飲んでしまった。「レバ焼き」はお奨めはしないが、私は次回もオーダーするかもしれない。
〆は「ラーメン」(470円)。うっすら脂が浮いているが決してオイリーではなくまっとうな「昭和の中華そば」で美味しい。トッピングは焼豚、ナルト、わかめ、シナチクにネギだができればわかめではなく焼き海苔にして欲しいところ。麺は過度にツルツルしておらず、プツリと前歯で噛み切れる好ましい食感だ。スープは鶏ガラメインと思われるが微かにジンジャー風味が感じられる。おそらくスープを煮出す段階で入れた生姜だと思われるが、居酒屋の〆のラーメンが前提ならさっぱりして好ましいかもしれない。お腹パンパンです、ザキヤマ秋のパン祭り。
いゃ~堪能しました、店を出たのは12時10分。滞在時間45分、昼飲みはだらだら長居せず酒とつまみを片付けたらさっさと勘定を済ませるのがロンリーウルフの美学。「いづみや本店」は存在しているのが奇跡のような良い店だ。近所にあったら間違いなく通い詰めるだろう。でも混雑すると思われる夕方から夜は微妙かもしれない、幅45cmのテーブルは向かいにオヤジが座ったら顔をどこに向けてよいかわからないし、両側も肩をぶつけながら飲むことになると思われる。そのシチュエーションが耐えられない私は昼飲み専門として大事にしていきたい店だ。次回訪問は1年後の人間ドックであろう。
ちなみに「いづみや本店」の左どなりは「いづみや第二支店」で同じように午前10時30分から営業しており、ロンリーウルフが集まっていました。
おしまい