村上 龍 - 55歳からのハローライフ

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『55歳からのハローライフ - 村上 龍』
発売日:2012年12月5日
販売:幻冬舎
定価:1,575円(税込)

人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ『結婚相談所』。生きてさえいれば、またいつか、空を飛ぶ夢を見られるかも知れない『空を飛ぶ夢をもう一度』。お前には、会社時代の力関係が染みついてるんだよ『キャンピングカー』。夫婦だからだ。何十年いっしょに暮らしてると思ってるんだ『ペットロス』。人を、運ぶ。人を、助けながら、運ぶ。何度も、何度も、そう繰り返した『トラベルヘルパー』。多くの人々が、将来への不安を抱えている。だが、不安から目をそむけず新たな道を探る人々がいる。婚活、再就職、家族の信頼の回復、友情と出会い、ペットへの愛、老いらくの恋…。さまざまな彩りに充ちた「再出発」の物語。

55歳。定年を間近に控え子供は既に独立しているが結婚はしておらず孫の顔は当分拝めそうもない、夫婦2人での生活。定年後の暮らしや趣味に想いを馳せつつも健康や金銭面に漠然とした不安を憶え焦燥感に駆られる。会社がこれが最後と言う何回目かの早期退職を募集するたび、退職金と加算金の額を計算しこれでは辞められないとため息をつく。リアル55歳はこんな感じか。私もひと事ではなく、数年後に直面する現実。やはり大事なのは経済的余裕であろう。この小説でも余裕ある者、ない者が登場するが定年間近の55歳以降に経済的困窮に陥ることだけは何としても回避しなければならない。
次に配偶者との関係であるが、これは100組の夫婦がいれば100通りの解があるわけで模索するしかないでしょうね。よく空気のような存在と配偶者を例える場合があるが、そんな関係性を本当に構築できるものだろうか?
中国北京の空気のようにザラついて鬱陶しいものだと思うのだが。でもそれが悪だとか、破綻しているとは思わない。30年近く夫婦として家族や社会のいわゆるユニットの秩序を乱すことなく契約を履行できているのだから既に完成の域に達しているのである。開高先生風に言えば『光の一滴を見ることができた。円は閉じた、成就した』のである。なので取り立てて夫婦関係に再考もなければ反省もない。

今のところは。。。