HMNや登山部 涸沢トレッキング第ニ章

涸沢トレッキング 序章はこちら
涸沢トレッキング第一章はこちら

2014年7月27日(日)さわんど第3駐車場~涸沢ヒュッテ到着

イメージ 1

AM4:00に起床、まずはテントを撤収しトイレで用を足す。ここ第3駐車場のトイレは明るく綺麗で女子にもお勧めです。お湯を沸かししじみの味噌汁とオニギリ、サンドイッチの朝食を摂る。食後のコーヒーは時間がないので諦め、このトレッキングのために少ない小遣いから調達した各自コダワリの装備を身に着けシャトルバス発着所に向かう。自動券売機で「上高地バスターミナル往復券」(2,050円)を購入しAM5:20発車のバスに乗り込む。座席は5割ほどの乗車率で大きいバックパックも問題なく座席に置くことができた。

イメージ 2

イメージ 3

約30分で「上高地バスターミナル」に到着、空はどんよりと曇っているがターミナルはこれから穂高槍ヶ岳に向かうおっさんや山ガールで溢れており、高揚感に包まれているようだ。初体験の「入山届」を記入、なんだか一端のアルピニストになった気分。

イメージ 4

イメージ 5

「入山届」をポストに投函後、梓川沿いの遊歩道を歩きだす、300メートルほどで河童橋(標高 1,500m)に到着。河童橋上高地のランドマークでホテルやお土産屋が軒を連ねており、登山目的でない観光客も多数訪れている。ここを涸沢トレッキングの出発点とする。

河童橋~明神館(3km 所要時間 40分 標高差 30m)

イメージ 6

MKT隊長を先頭にAM6:00に出発、梓川左岸の遊歩道を進む。天気は相変わらず曇っており暑さはあまり感じない。3kmほどで明神館(標高1,530m)にAM6:40到着、梓川にかかる明神橋を渡れば観光名所である明神池があるが観光は下山時に行う事としそのままスルー。

明神館~徳澤園(3.4km 所要時間 50分 標高差 30m)

イメージ 7

イメージ 8

天気予報では日中雨でバスターミナルの掲示板にも午後低気圧が通過すると注意喚起されていたが、小梨平キャンプ場を通りすぎる辺りで小雨が降ってきた。小雨なので標準装備のまま歩き続け徳澤園(標高1,560m)にAM7:30到着。この宿は井上靖の名著「氷壁」に登場する山宿で「氷壁の宿」とも呼ばれている。

イメージ 9

イメージ 10

ここの名物はソフトクリーム(400円)で我々も味わってみる。まるで原宿のカフェのようなお洒落なカウンターでソフトクリームを購入。普段ソフトクリーム等は食べないが山で食べるとミルクのコクと砂糖の甘味、バニラの風味が途轍もなく美味しい。ここで雨が強くなってきた。この先も雨は続くと判断し、レインスーツを着用する(これが後の判断ミスにつながる)。次のポイントである横尾山荘に向け歩き出すとしばらくして雨が止んでしまった。ゴアテックスとは言えレインスーツは蒸れて暑いので、途中で脱いでしまった。

徳澤園~横尾山荘(3.9km 所要時間 60分 標高差 60m)

イメージ 11

イメージ 12

AM8:50に横尾山荘(標高1,620m)に到着。横尾は穂高連峰槍ヶ岳の分岐点となっており、穂高に向かう者は横尾大橋を渡り、槍ヶ岳に向かう者は橋を渡らず直進するのだ。カラフルなファッションの山ガールが槍ヶ岳方面に向かうのを、おじさん3名は眩しいものを見るかのように目を細める。MKT隊長の計画書では昼食として山荘名物のラーメンを食べることになっているが、あまり腹は減っていないのでコーヒーを淹れ本格的な休憩モードに突入。

イメージ 13

コーヒーを飲んでまったりしていると再び雨が降りだした、また止むかもしれないし取り敢えずレインジャケットだけ身に着け様子を見る。雨宿りがてらラーメンを食べようと入店したが食事はAM10:00からとのこと。待っているのも怠いので雨の中を先へ進むことにし横尾大橋を渡ったのであった。

横尾山荘~本谷橋(2.8km 所要時間 60分 標高差 180m)

イメージ 14

河童橋~横尾山荘までは、ほぼ平坦な道のりでカジュアルな服装でスニーカーでも問題ないと思われる。涸沢トレッキングの本番は横尾大橋を渡ってからでガレ場や急な上り坂が現れるのだ。橋を渡ってから雨脚が強まりアッという間にトレッキングパンツやブーツまで濡れてしまった。上半身はレインジャケットを着ているので問題ないが、下半身は既にずぶ濡れなので今更レインパンツをはいても蒸れるだけなのでそのまま歩き続ける。ゴロゴロと雷鳴が鳴り出した、私の一番恐れていた事態だ、私は飛行機と風船と雷が大嫌い。特に山岳部での雷は身を隠すところが無く、また一番危険といわれる樹木に前後左右囲まれてしまっている状況だ。引き返すことも立ち止まることもできず、ひたすら身を屈め頭を低くし前のめりで早足で歩く。雨は降り続いておりトレッキングパンツはおろか下着までずぶ濡れでブーツの中にも水が浸入してきている。これで気温低下が重なれば命に係わる事態となるのであろうが、梅雨明け早々の盛夏なのでその心配はない。だけどかなり辛い状況となってきた。

本谷橋~涸沢ヒュッテ(2.4km 所要時間 140分 標高差 500m)

イメージ 15

イメージ 16

AM10:30本谷橋(標高1,800m)に到着。ここから涸沢ヒュッテ(標高 2,309m)まで標高差500mを一気に直登することになる。涸沢ヒュッテまでは全てガレ場が続き、手前は雪渓が残っているとの情報もあり最後の最後に難関が待っているわけだ。幸い雨は小降りとなり雷鳴は聞こえなくなった。スマホの電波が入るか試そうと思い立ちトレイルパンツのポケットからNexus5を取り出し、電源スイッチを長押ししたが反応が無い。不吉な予感に襲われるが、今は目の前の階段上の岩場に集中しようと努める。先頭で我々を牽引してくれたMKT隊長も流石に辛そうでトレッキングポールに体を預け休む時間が増えてきた。計画書より前倒しできているので焦らず、ゆっくり、確実に一歩一歩進む。

イメージ 17

いよいよ雪渓が現れた、融けかけた部分と凍り付いている部分とが入り混じっておりルート取りが難しいが先人の足跡を慎重にトレースし高度を稼いでいく。滑って踏み外せば梓川まで滑落する恐怖が脳裏をよぎる。

イメージ 18

イメージ 19

いよいよヒュッテの建物が大きく見えてきた、後もう少し。MKT隊長は最後の力を絞り出す。

イメージ 20

AM13:05涸沢ヒュッテ(標高 2,309m)に到着。やっっっっったぁぁぁ~!!!!

第三章につづく