月村 了衛 - 黒警

イメージ 1
『黒警』月村 了衛
発売日:2013年9月6日
発売元:朝日新聞出版
定価:1,575円(税込)

警視庁組織犯罪対策部の沢渡と滝本組幹部の波多野は、組織に追われる中国人女性を見殺しにした深いトラウマを抱えていた。そんな二人のもとに中国黒社会の新興勢力「義水盟」の沈が現れる。黒社会の大組織・天老会に追われているカンボジア女性サリカを匿ってほしいと沈から頼まれる二人。サリカは天老会の最高機密を握っているらしい。

正義感の欠片も無い事なかれ主義の刑事、新時代の武闘派ヤクザ、中国黒社会新興勢力の大兄、巨悪と癒着する警察上層部。この組み合わせは馳 星周や堂場 瞬一に書き尽くされており、今さら新鮮な物語を展開できるのか甚だ疑問であったが、結論から言うと楽しめました。ストーリーの3/4位までは地道な捜査手法や刑事の葛藤、警察上層部の腐敗が鬱々と書き連ねられるが、終盤1/4でギアが2段上がったようなスピーディーな展開。更に序盤のエピソードも巧妙に絡んできて最後は爽快感さえ味わえました。ストーリーそのものに新味は無いがなかなか読ませる作家、お薦めです。

おしまい