『黒警』月村 了衛
正義感の欠片も無い事なかれ主義の刑事、新時代の武闘派ヤクザ、中国黒社会新興勢力の大兄、巨悪と癒着する警察上層部。この組み合わせは馳 星周や堂場 瞬一に書き尽くされており、今さら新鮮な物語を展開できるのか甚だ疑問であったが、結論から言うと楽しめました。ストーリーの3/4位までは地道な捜査手法や刑事の葛藤、警察上層部の腐敗が鬱々と書き連ねられるが、終盤1/4でギアが2段上がったようなスピーディーな展開。更に序盤のエピソードも巧妙に絡んできて最後は爽快感さえ味わえました。ストーリーそのものに新味は無いがなかなか読ませる作家、お薦めです。
おしまい