奥田 英朗 - 純平、考え直せ

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純平、考え直せ』  奥田 英朗
発売日:2011年1月19日
発売:光文社
定価:1,470円(税込)

坂本純平、21歳。新宿・歌舞伎町のチンピラ。心酔する気風のいい兄貴分の命令は何でも聞くし、しゃべり方の真似もする。女は苦手だが、困っている人はほうっておけない。そんな純平が組長から受けた指令、それはヒットマン(暗殺)。決行までの三日間、純平は自由時間を与えられ、様々な人びとと出会う。そしてネット掲示板では、はからずも「噂の男」になってゆくのだが──。どうする、純平?

両親が幼いころに離婚し母親に引き取られ、母親が水商売の客をとっかえひっかえアパートに呼び込みたびにベランダに追いやられた少年が不良になり高校中退、少年院を経験し新宿のヤクザの組員になり、組長から敵対している組の代貸の玉を殺るよう鉄砲玉に指名される。根は優しくて面倒見のよい21歳の青年が、命令通り玉を殺るか、命令に背きどこかに逃げるか善人悪人が入り乱れた人間関係のなかで葛藤したままラストを迎え後は読者のご勝手にという作品。いかにも奥田英朗さんらしい小説、出来としては普通。