日本海で、核弾頭を搭載した潜水艦が爆発。決死の攻防が始まる!
私は潜水艦モノが大好物で、小説なら福井晴敏「終戦のローレライ」や池上司「雷撃深度一九・五」、漫画ならかわぐちかいじ「沈黙の艦隊」、映画なら「眼下の敵」。潜水艦と洋上駆逐艦、あるいは潜水艦どおしのお互い相手の姿が見えないまま、パッシブ・ソナーを駆使し相手艦長の心理を読み、ウラのウラのそのまたウラをかきココしかないタイミングとポイントに一撃必殺の魚雷を発射!魚雷発射をソナーで探知した相手潜水艦はチャフ(魚雷のレーダーをかく乱する細かい金属片)を海中に噴射し、回避行動を1秒でも早くするため乗組員総員が魚雷回避の方向へ艦内を移動する。そんな閉塞空間におけるチリチリするような心理戦と、完全に電子化された近代兵器の威力と艦長の意のままに艦を操る熟練した乗組員が繰り広げる小説世界は誰がなんと言おうとオモシロイ!この小説にもそれを期待したのであったが.......。ダメだ、俺が渇望して止まないのはコレではない。まず戦闘シーンがほとんど無い、序盤に爆発事故で魚雷発射設備を失ってしまい、艦内の中国人どおしの主導権争いに終始し魚雷は一発も発射しないままエンディングをむかえる。前作「迎撃せよ」もそうだがなんか中途半端。中国人艦長と副艦長の確執や北半島工作員の理想を熱く語られても感情移入は無理でしょう、お薦めなしで。
おしまい