白土 三平 - カムイの食卓

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『カムイの食卓』  白土 三平
発売日:1998年4月1日
発売:小学館
定価:1,680円(税込)

伝説の名作『カムイ伝』の作者が房総の小さな漁村に住みつき実践してきた、半自給自足食生活の記録。 内容(「MARC」データベースより) かつては苦しくとも喜びを自然と共有した世界があった。今度はその自然を我々が守らねばならなくなった。房総の小さな漁村に住みつき、半自給自足食生活を実践する著者による、自然との共生の断片。

白土さんの写真と文章で千葉房総方面の風土や郷土食、いわゆるフィールドワークを綴ったビジュアル本。なかなか興味深い事象が書かれているので紹介したいと思う。ちなみに15年前に定価1,680円の本だが、現在の中古相場はなんと4,800円くらい。貴重な本からの抜粋なのでこれ以降は心して読むように。

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【コゴ】
波に洗われる岩に三葉虫系のキャタピラ模様の貝がへばりついているが、それがコゴ(ヒザラ貝)である。岩から剥がすことすら難しいらしいが、柔らかく茹で上げるのは湯の温度と茹で時間が重要で経験に裏付けられたコツがある。100度の熱湯で長時間やみくもに茹でても固くて食えないらしい。写真中央は上手に茹でられたコゴの殻を剥いた状態、このまま酢味噌などで食してもオツな味と書かれている。右の写真は茹でたコゴを細切りにし雲丹と混ぜて熟成させた逸品。めちゃくちゃ旨そう、さらにキムチとたくあん漬け、これに海苔の味噌汁とか添えられていたら嬉しすぎる。房総のひとは羨ましいもの喰ってましたね。

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【寒ナマダの干物】
ナマダとはよゐこの浜口が海に潜ってよく獲ってくるやつ(ウツボ)ですね。彼は油で丸揚げにして喰ってましたが、干物のほうが旨そう(あたりまえだ)。干物を焼いている写真は見るからに脂がのっており、炭火で燻された風味とコゲ味が加わりこれが不味いわけがない。麦焼酎のロックか淡麗系の冷酒で。

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【フジサン】
マツバ貝のことですね。マツバ貝は私も採取し塩茹でにして食したことがある、磯の香りと塩っぱめの味に狩猟本能も満たされなかなかオツなものだ。房総のほうでは茹でずに生のまま殻からはずし、醤油と酒に漬け込み3日めくらいから食べごろになるらしい。ピリッと少量の青唐辛子をいれても良さそう、これは純米酒のぬる燗でいいんじゃないですか。

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【狸汁】
狸汁は椎名誠のエッセイやフィールドワークによく登場するが、臭みがあるため牛乳に漬けたり稲わらにくるんで土中に埋めたりして臭みを抜くのに苦労していた。しかし、白土さんは小賢しいことは行わず、捌いたばかりの新鮮な狸肉を鍋にぶち込み味噌味の鍋に仕立てている。具は文中に書いてあったが忘れてしまった。写真から豆腐とコンニャクは間違いなく入っている。個人的にはごった煮にならないように他はゴボウとネギくらいが希望。酒はフルボディーの赤ワインか。

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【牙ものまわし】
まあっ、見たとおりイワシ丸干しです。何故これが牙ものまわしと呼ばれるのか?数年に1回くらい膨大な数のイワシが海岸に打ち上がられ、潮風と太陽になぶられ天然の丸干しが完成となる。イワシが大型魚の捕食から逃げまどった結果なので、牙ものまわしと呼べれるとの事。しかしさっきまで生きていた新鮮なイワシがオートマチックに天然干しとなるので、これは旨いに決まっている。金麦70%OFFを1缶空け、後は白波のお湯割りで。

おしまい